福岡の警備員の一人旅No.515 中年警備員の癒しと冒険の一人旅 世界遺産・西オーストラリアのシャーク湾で感じた地球の奇跡と時を超える風景

世界遺産

オーストラリア大陸の西端に広がるシャーク湾。そこは、地球誕生の歴史を今に伝える壮大な自然遺産であり、時が止まったような静けさの中で心を整えられる場所でもあります。福岡市で警備員として働く私が、日常の喧騒から離れて一人旅を選んだこの地には、想像を超える感動が待っていました。



シャーク湾の場所と気候

シャーク湾は、西オーストラリア州のペロン半島とディルビニ半島に囲まれた広大な湾で、インド洋に面しています。西オーストラリアの州都パースからおよそ850km北に位置しており、車では約10時間、空路とバスを組み合わせてもアクセスには時間がかかりますが、その分、辿り着いたときの感動はひとしおです。

気候は年間を通じて温暖で乾燥しており、夏は30度を超える日もありますが、湿度が低いため快適です。冬は20度前後と穏やかで、一年中旅人を迎え入れてくれる穏やかな土地です。



悠久の歴史と地球の原風景

シャーク湾が世界遺産に登録された理由は、その自然の多様性と地球史にとって重要な痕跡を残す生態系にあります。特に有名なのが「ストロマトライト」と呼ばれる生物岩。これらは約35億年前から存在するシアノバクテリアによって形成されたもので、地球最古の生命活動の証です。私はハメリンプールに立ち、波に洗われるストロマトライトを見つめながら、自分がどれほど長い歴史の一部にいるのかを実感しました。

また、湾内にはジュゴンの最大生息地があり、その数は世界中のどこよりも多いとされています。透き通った海の中を優雅に泳ぐジュゴンたちは、この世のものとは思えないほど静かで神聖な雰囲気を漂わせていました。



文化的・宗教的価値とアボリジニの精神世界

この地はアボリジニ、特にマラリグ族やナンダ族など先住民族にとっても、聖地として語り継がれてきた場所です。彼らにとってシャーク湾は「祖先の精霊が眠る場所」であり、大地と海とが一体となる神聖なエネルギーが宿る場所とされています。私が立ち寄った小さな文化センターでは、アボリジニの長老が語るドリームタイムの物語を聞くことができ、その中に込められた自然との共生の精神に深く心を打たれました。



シャーク湾の魅力を支える絶景と生態系

観光のハイライトはなんといっても「シェルビーチ」。砂ではなく小さな貝殻が敷き詰められた白い浜辺は、歩くたびに「キュッキュッ」と音が鳴り、不思議な感触を楽しめます。また、ディルビニ岬から望むインド洋の夕陽は、地球が丸いことを感じさせてくれるような圧倒的なスケールでした。

海中ではイルカ、マンタ、サメ、カメなど多彩な海洋生物に出会うことができ、スノーケリングやグラスボートツアーも豊富に用意されています。特に「モンキーマイア」での野生イルカとのふれあいは、旅のクライマックスとも言える瞬間でした。



年間訪問者数とその変化

シャーク湾は毎年およそ10万人前後の観光客が訪れており、その多くはオーストラリア国内やヨーロッパからの旅行者です。日本人の姿は少なめで、だからこそ静かに自然と向き合える貴重な体験ができる場所とも言えます。近年ではエコツーリズムの取り組みも進んでおり、持続可能な観光地としての評価も高まっています。



旅行ルートと一人旅のおすすめプラン

私が選んだのは、パースから国内線で「カーナーヴォン」または「デナム」まで飛び、そこからレンタカーでシャーク湾を巡るルートです。最初に訪れたのはストロマトライトで有名なハメリンプール。その後、シェルビーチ、モンキーマイア、ディルビニ岬をゆっくり巡る5日間の旅でした。

一人旅だからこそ、自由気ままに自然と向き合い、疲れたら浜辺で昼寝をしたり、現地のカフェでゆったりと過ごすこともできました。モンキーマイアでは星空を眺めながら、静かに自分と向き合う時間も持てました。



最後に

シャーク湾は、ただ美しいだけの観光地ではありません。ここには地球の始まりの記憶があり、自然と人が共に生きてきた歴史があります。福岡で警備員として働き、日々忙しさに追われる私が、この場所で過ごした数日間は、まるで時間がゆっくりと巻き戻されたような、心から癒されるひとときでした。

中年だからこそ感じられる静けさの尊さと、自分の人生を見つめ直す余白。この旅は、次なる人生の一歩を踏み出すための大きなきっかけとなったのです。