能登半島地震を乗り越えた街を訪ねて
福岡市で警備員として働く私にとって、日々の仕事は緊張感と責任の連続です。時には自分を癒す時間が必要で、そんな時にふと思い立ったのが石川県輪島市への一人旅でした。ニュースで見た能登半島地震の映像が忘れられず、自分の目で確かめ、何か少しでも力になれたらという想いもありました。
この旅は、ただの観光ではありませんでした。復興へ向けて一歩ずつ歩む人々との出会い、美しい自然、そして心の奥にまで染み込むような温かさに包まれる時間。それは、日々の疲れをそっと癒し、自分を見つめ直すための大切な旅となったのです。
朝市とともに目覚める輪島の朝
旅の始まりは、輪島の代名詞ともいえる「輪島朝市」です。千年以上の歴史を持つこの朝市では、新鮮な魚介類や手作りの漆器が並び、朝早くから多くの人々で賑わっています。地震後の営業再開に向けて力強く準備を進める姿に心打たれ、観光というよりも応援の気持ちが自然と湧きました。
この場所はただ買い物をするだけの場ではありません。地元の方々と触れ合い、日常の息づかいを感じられる貴重な場所です。おばあちゃんの笑顔と、「来てくれてありがとうね」の一言に、胸がじんとしました。
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山と海の恵みに包まれる宿でひと息
宿は「輪島温泉八汐」に宿泊しました。七ツ島を望む高台に建ち、静けさと風の音しか聞こえない贅沢な空間です。露天風呂から眺める日本海の夕日は、心の奥深くにまで染み入り、言葉を失う美しさでした。
チェックイン時に「おかげさまで復旧しました」と笑顔で迎えてくれたスタッフの姿に、地域の底力と前向きなエネルギーを感じました。地震の爪痕は確かにありますが、それ以上に「今」を楽しんでほしいという気持ちが伝わってきます。
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北陸の味覚に舌鼓を打つ夜
夕食には、石川県ならではの旬の味覚が並びました。輪島ふぐの刺身、能登牛の陶板焼き、そして朝市で仕入れたばかりの地物の魚介類。どれも素材の味を活かした優しい味つけで、心がふっとほぐれました。
お酒は、地元の酒蔵「白藤酒造店」の純米吟醸「奥能登の白菊」。キレのある飲み口と深い旨味が料理に寄り添い、久しぶりに心から「うまい」と感じました。一人で飲む静かな時間もまた、旅ならではのご褒美です。
歴史と文化が息づく街を歩く
翌日は「輪島キリコ会館」へ足を運びました。勇壮なキリコ灯籠の迫力と、地元の祭りに込められた想いに触れ、地域の誇りと文化の豊かさを感じます。さらに、輪島塗会館では伝統工芸の技術を目の当たりにし、職人たちの熱意に圧倒されました。
街を歩けば、至るところに復興の痕跡があります。まだ整備が進む途中のエリアもありますが、その分、観光客として訪れることが小さな支援になっていることを実感しました。
心を込めて選ぶ旅のお土産
帰りには、輪島塗の小皿と、輪島朝市で買った能登の干物、そして「奥能登の白菊」をもう一本、家族へのお土産として購入しました。どれもこの旅の記憶を呼び覚ましてくれる、大切な品です。
「また来るよ」と心の中でつぶやきながら、輪島の町を後にしました。あの穏やかな海の風と、人々の笑顔は、これからもずっと胸の中で生き続けるでしょう。
福岡から石川県輪島市への旅行ルート
福岡空港から小松空港まで飛行機で約1時間30分、小松空港からはレンタカーを利用して能登里山海道を北上。道中も自然豊かで走るだけで癒されます。約2時間半のドライブで輪島市に到着しました。交通の便は良いとは言えませんが、その分、旅の価値が高まる気がします。