福岡の警備員の一人旅No.485  福岡市に住む警備員の一人旅で辿り着いた世界遺産・小笠原諸島の壮大な自然と孤島での癒しの時間

世界遺産

福岡市で警備員として働く私は、日々の喧騒と責任ある仕事に疲れたとき、ふと「誰もいない、静かな場所に行きたい」と思うことがあります。そんな想いを胸に、今回の一人旅の目的地に選んだのが、東京都に属しながらも本州から1,000km以上離れた孤島、世界遺産・小笠原諸島です。この島々にしかない壮大な自然、独自の生態系、そして人と自然が共生する暮らしの姿に、私は心を打たれました。



小笠原諸島の場所と気候
小笠原諸島は、東京都小笠原村に属する30余りの島々からなる南洋の孤島群です。父島や母島が有人島であり、そのほかの島々は無人島です。福岡市からのアクセスは決して簡単ではなく、飛行機で東京へ移動したのち、竹芝桟橋から約24時間の船旅を経てようやく父島に到着します。

気候は亜熱帯に属し、一年を通して温暖で湿度が高く、平均気温は21〜27度前後です。南国らしい鮮やかな空と海、そして多様な動植物が調和する風景は、まるで別世界に来たかのような感覚を与えてくれます。



小笠原諸島の歴史と特徴
小笠原諸島は16世紀にヨーロッパ人によって”発見”され、その後19世紀には欧米諸国からの移住者が定住し始めました。日本への正式編入は1876年。第二次世界大戦後はアメリカの統治下に置かれましたが、1968年に日本へ返還されました。

こうした複雑な歴史的背景を持つことから、小笠原には日本本土とは異なる文化や建築様式、そして人々の暮らし方が色濃く残っています。また、世界自然遺産に登録されたのは2011年。その最大の理由は、独自の進化を遂げた生態系と多くの固有種の存在にあります。



文化的宗教的価値と自然の神秘
小笠原諸島には本土のような寺社仏閣は多くありませんが、島民の暮らしには自然と共に生きる知恵や敬意が息づいています。台風や強風、塩害など厳しい自然環境に順応した生活は、まさに自然との対話の結果です。毎朝、海に向かって静かに手を合わせる地元の方の姿が印象的でした。

また、島の各所には「○○神」と名付けられた岩や山、海岸線が多くあり、古くから自然の中に神聖さを見出す文化があることを実感しました。これは日本古来の自然信仰とも通じるものであり、無宗教である自分でも不思議と心が落ち着きました。



小笠原諸島の魅力と見どころ
何と言っても最大の魅力は、その手つかずの自然です。父島ではシュノーケリングやホエールウォッチングが楽しめ、サンゴ礁に囲まれた透き通る海に心を奪われます。夜になれば満天の星が空一面に広がり、流れ星がいくつも流れていきます。

また、ボニンブルーと呼ばれる鮮やかな海の青は、他のどの海とも違う特別な色です。母島ではトレッキングで亜熱帯のジャングルを歩き、固有の植物やオガサワラオオコウモリといった動物たちに出会いました。

観光地化が進みすぎていないため、人混みがなく、どこを歩いても静けさに包まれます。その中で聞こえてくるのは、波の音と鳥のさえずり、そして自分の足音だけ。まさに「心のデトックス」ができる旅でした。



年間訪問者数とその現実
小笠原諸島の年間訪問者数は約2万人程度とされており、他の観光地と比べても非常に少ないです。これはアクセスの不便さに起因していますが、その分、自然や文化が守られ、訪れた人にとっては「特別な体験」となります。

旅の途中で出会った地元の方が「ここは“来ようと思って来れる島”じゃない。呼ばれた人だけが来れるんだよ」と言っていたのが印象的でした。確かに、そう思えるほどの神秘と温かさが、この島々にはあります。



福岡市から小笠原諸島への旅行ルート
私の一人旅は、以下のようなルートで実施しました。

福岡空港から羽田空港へ(約1時間45分)

東京・竹芝桟橋までモノレールと徒歩で移動

おがさわら丸に乗船(約24時間)

父島に到着後、2泊3日の滞在(母島へは日帰り)

移動時間は長いですが、その分、目的地に着いたときの感動はひとしおです。デジタルから離れ、時計を気にせず、ただ自然と向き合う時間は、まさに「人生を見つめ直す旅」でした。



まとめ
世界遺産・小笠原諸島は、単なる観光地ではなく、地球の営みと人の暮らしが融合する「生きた自然博物館」です。福岡市という都市生活から離れ、一人の警備員として訪れたこの島で、私は自分の内面とじっくり向き合うことができました。

忙しい日々に疲れたとき、便利さとは真逆の「不便さの中にある豊かさ」を体験したいとき、小笠原諸島はきっとあなたの心を癒してくれる場所になります。