福岡市で警備員として働く日々は、規則正しく、そしてときに緊張感のある毎日です。そんな私が「心から癒されたい」と思ったとき、ふと頭に浮かんだのが岐阜県白川村でした。昔話に出てきそうな風景と、静かであたたかい人の暮らし。その魅力を一人旅でじっくり味わってきました。
静かに佇む山間の村 白川村の基本情報
岐阜県の北部、飛騨地方に位置する白川村は、周囲を山々に囲まれた静かな村です。人口はおよそ1,300人ほど。小さな村ですが、その魅力は全国、いや世界にも知られており、1995年には合掌造りの集落がユネスコ世界文化遺産に登録されました。
気候は山間部特有の寒冷で、特に冬は日本有数の豪雪地帯としても有名です。そのぶん、雪に包まれた白川郷の美しさはまるで絵本の世界。春には新緑、夏は涼風、秋には紅葉と、四季折々でまったく違う表情を見せてくれます。
合掌造りの集落で時を忘れる
白川村の象徴ともいえるのが、合掌造りの集落です。茅葺き屋根の民家が規則正しく立ち並ぶその風景は、まさに日本の原風景。合掌造りは「手を合わせた形」を意味し、雪の重みに耐えるための工夫がたっぷり詰まっています。
私も実際に「和田家」や「神田家」といった古民家を訪ね、囲炉裏のぬくもりや、木の香りに包まれた室内でゆったりと時間を過ごしました。観光地でありながらも、どこか生活の匂いが残っているのが、この村の魅力です。
高台からの絶景 展望台は外せないスポット
村の全景を一望できる「城山展望台」も白川村観光では欠かせません。坂を少し登っていくと、眼下には美しく整った合掌造りの集落が広がり、その背後には連なる山々。四季ごとに風景が変わるので、春夏秋冬いつ訪れても心を打たれます。
朝の柔らかな光に包まれる集落や、夜にライトアップされる雪景色も格別。私は秋の終わりに訪れたのですが、紅葉と木造家屋のコントラストがとても印象的でした。
地元の味がしみわたる 白川村の郷土料理
旅の楽しみといえばやっぱり食。白川村には、素朴で温かい郷土料理がたくさんあります。特におすすめなのが「朴葉味噌」。味噌にネギやキノコを加え、朴葉に乗せて炙るこの料理は、ご飯が止まらなくなる美味しさです。
また、飛騨牛の陶板焼きも絶品。高級感はあるけど、どこか素朴な味付けが、田舎らしい温もりを感じさせてくれます。寒い日にぴったりの「けいちゃん焼き」や「五平餅」も、ぜひ味わってみてください。
旅の記念にぴったりなお土産選びも楽しい
白川村でのお土産選びも外せません。定番はやっぱり「さるぼぼ」。赤い小さな人形で、飛騨地方の縁起物として人気があります。他にも、白川郷ならではの手作り雑貨や、地元の酒蔵で作られた日本酒「白川郷純米にごり酒」などもおすすめです。
私は、地元のおばあちゃんが作った手編みのコースターを購入しました。使うたびに、旅の思い出がふわっと蘇ります。
おすすめの一人旅ルートをご紹介
福岡市から白川村までは、飛行機で名古屋まで行き、そこからは電車とバスを乗り継ぐのが便利です。私の場合は福岡空港から中部国際空港へ飛び、名古屋駅から高山本線で高山へ。その後、高山からは濃飛バスで約50分ほどで白川郷に到着します。
宿は、白川郷内の民宿を利用しました。囲炉裏がある部屋で、夜は静かな風の音だけが聞こえる中、読書をしてゆったりと過ごしました。一人旅だからこそ感じられる静寂と贅沢な時間が、ここにはあります。
日常から離れ、心をほぐす場所がここにある
白川村は、派手なアクティビティがあるわけでも、ショッピングモールがあるわけでもありません。けれど、その「何もない」ことこそが、何よりの癒しになるのです。
福岡市で働き続ける中年の警備員である私にとって、この旅は心をリセットし、新たな活力をくれる大切な時間となりました。どこか懐かしくて、どこまでも優しい岐阜県白川村。次はぜひ、雪の季節にも訪れてみたいと思います。