日々、福岡市の街中で警備員として働く私は、緊張と忙しさの合間に「静かに自分と向き合う時間」がほしいと感じるようになっていました。そんなある日、ふと目に留まったのが「金魚の町」として知られる奈良県大和郡山市。城下町の風情と、のどかな景色、そしてそこに住まう人々の優しさに癒される旅を、私は一人静かに始めました。
金魚と暮らす町、大和郡山のやさしい朝
福岡からの移動は、新幹線で博多駅から新大阪へ。そこから近鉄電車を乗り継いで、約3時間半で大和郡山市に到着しました。朝早くに駅に降り立つと、空気は澄み、どこか懐かしさを感じさせる町並みが広がっていました。
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最初に訪れたのは「金魚ストリート」と呼ばれるエリア。道端のガラス水槽に、ゆらゆらと泳ぐ金魚たちの姿があり、彼らの緩やかな動きに思わず足を止めてしまいました。まるでこの町全体が、ゆっくりとした時間を大切にしているようで、胸の奥がすっと軽くなるような感覚を覚えました。
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郡山城跡に流れる歴史と風の音
次に向かったのは、「郡山城跡」。桜の名所としても知られていますが、私が訪れたのは秋の終わり。紅葉に包まれた石垣と堀の風景が、まるで一幅の日本画のように静かに広がっていました。天守台に立つと、町全体が見渡せ、遠くに金魚の養殖池が点在しているのが見えました。
石垣に腰掛けて、そよぐ風に目を閉じてみると、鳥のさえずりと木々のざわめきだけが耳に届きます。仕事では常に無音と緊張の中にいますが、こんな穏やかな「自然の音」に包まれると、心の芯からほぐれていくのを感じました。
こだわりの金魚雑貨と町家の癒しカフェ
城跡の近くにある商店街には、金魚をモチーフにした雑貨や小物がたくさん並んでいました。手ぬぐいや箸置き、ポーチなど、どれも作り手の想いがこもった温かなデザインで、自分へのお土産にいくつも選んでしまいました。
ひと息つこうと立ち寄った町家カフェでは、金魚鉢がインテリアとして飾られており、店内は静かで心地よい空気が流れていました。注文したのは、地元野菜を使ったプレートランチ。どの料理も素材の味がしっかりと感じられ、体の内側から元気をもらえるような優しい味でした。
郷土の味「金魚すくい御膳」と地元のあたたかさ
大和郡山市の名物のひとつが、「金魚すくい御膳」と呼ばれる創作料理。旅館や和食処で提供されることが多く、料理の盛り付けにも金魚のモチーフがあしらわれています。私が訪れた老舗の和食店では、丁寧に出された煮物、刺身、炊き込みご飯、そして金魚型のかまぼこまで。思わず顔がほころびました。
食事中、女将さんが声をかけてくれて、金魚の育て方や町の行事についても教えてくれました。その気さくな会話に、どこか実家に帰ったようなあたたかさを感じ、「この町には、時間と心の余裕が残っているんだな」と思わされました。
旅の終わりに選ぶお土産と思い出の余韻
旅の最後には、駅前の物産館に立ち寄りました。ここには、地元の金魚関連グッズをはじめ、大和茶を使ったお菓子や、奈良漬け、素朴な和菓子などがずらりと並んでいます。私は、ほのかに甘い金魚もなかと、手作りの陶器の茶碗を購入しました。
品物を包んでくれたスタッフの方が、「また来てくださいね」と優しく声をかけてくれました。観光地のサービスというより、親戚の家から見送られるような、そんな温もりを感じながら、私はゆっくりと帰路につきました。
静かな町の中で、自分の呼吸を取り戻す
大和郡山市の旅は、観光名所を巡るというより、「町そのものに癒される」ような不思議な体験でした。福岡ではいつも人や車の流れの中にいますが、この町では自分の歩幅で歩け、自分のペースで時間を過ごすことができました。
金魚の泳ぐ音のない水槽、風に揺れる紅葉、誰かと交わす小さな会話。そうしたすべてが、忘れかけていた心の静けさを取り戻させてくれた気がします。
旅行ルートとアクセス案内
福岡市から奈良県大和郡山市までは、博多駅から新幹線で新大阪駅まで移動し、そこから近鉄電車で郡山駅まで約3時間半の旅です。市内はレンタサイクルや徒歩でも巡りやすく、半日から1日で観光名所をゆっくりと回ることができます。
おすすめのルートは、午前中に金魚ストリートと城跡を巡り、昼食に郷土料理をいただいた後、午後は商店街やカフェでゆったり過ごすコースです。金魚資料館や郡山城の季節のイベントに合わせての訪問もおすすめです。