心の奥にそっと触れる埼玉県吉見町で過ごす静かな一人旅
福岡市で警備員として働く私は、仕事の合間に小さな癒しを求めて旅に出ることがあります。忙しい日常の中で、少しだけ心を休ませたくなるとき、行き先に選ぶのはあまり人が多すぎず、自然と人の温かさに触れられる場所。今回の旅の目的地は埼玉県吉見町。初めて聞く方も多いかもしれませんが、ここには深呼吸したくなるような自然と、懐かしさを感じる風景、そして人のやさしさがあふれていました。そんな吉見町での一人旅の記録を、ゆっくりお届けします。
のどかに広がる吉見百穴の景色に時間がゆるむ
吉見町を代表する観光名所といえば「吉見百穴(よしみひゃくあな)」。古墳時代に造られた横穴墓群で、岩山に点在する無数の穴が印象的なスポットです。最初は不思議な光景に驚きつつも、静かに歩いていると、自然と心が整ってくるような感覚に包まれます。緑に囲まれたその場所は、時の流れを忘れてしまうほど静かで穏やか。石の冷たさと風のやさしさが、じんわりと胸の奥に染み込んできます。
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町の宿で迎えるやさしい夜のはじまり
宿泊には、吉見町の郊外にある民宿「ゆうかの宿」を選びました。民家を改装したような、どこか懐かしさを感じる建物。女将さんが笑顔で出迎えてくれ、その瞬間に心がふっと緩みました。部屋は畳の香りが心地よく、窓の外には田園風景が広がっています。夕食までの時間、縁側でぼーっと座って風に吹かれるだけで、身体の緊張がゆっくりとほどけていくのを感じました。
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地元野菜たっぷりの料理に心がほどける
夕食には、地元で採れた野菜や川魚を中心にした和食膳が並びました。特に印象に残ったのは、「吉見産のナスと味噌の田楽」。素朴だけれど、手間ひまが感じられる味で、食べるたびに笑顔がこぼれました。さらに地元米を使った釜炊きご飯は、ふっくらと香り高く、何杯でもおかわりしたくなる美味しさ。旅先で味わうご飯は、なぜこんなにも優しく心にしみるのでしょうか。
吉見町の地酒「比企の里」で静かに酔うひととき
夕食のお供には、吉見町の地酒「比企の里」をいただきました。冷やで飲むそのお酒は、キレがありながらも柔らかな旨味があり、気持ちをゆるやかに溶かしてくれます。宿の静かな和室で、一人ゆっくりとお酒を味わう時間。テレビもスマホも忘れて、ただ自分の呼吸と湯気の立つ盃に集中する。そんな静寂が、最高の癒しになることを改めて知った夜でした。
朝の散歩で出会う田園の風景に心が整う
翌朝は早く目が覚めたので、近くの農道をゆっくりと散歩してみました。朝露に濡れる田んぼと、遠くで聞こえる鳥のさえずり。深呼吸をするたびに、体の中に新鮮な空気が流れ込んできます。途中、農作業をしていたおじいさんが「おはようございます」と声をかけてくれ、その一言が胸に染みました。知らない土地で交わす、こうしたささやかな挨拶が、旅の中で一番印象に残ったりするものです。
やさしさが詰まった吉見町のお土産たち
帰り道に立ち寄ったのは「道の駅よしみ」。地元の特産品が並ぶ中で、特に目を引いたのが「吉見産いちごのジャム」と「手作り味噌」。どちらも素材の味を活かしたやさしい風味で、お土産というより、自分の心を癒す“お守り”のような存在に感じました。あの宿の女将さんの笑顔や、百穴の静寂を思い出しながら、自宅でも少しだけ旅の余韻に浸ることができそうです。
福岡から吉見町へののんびり旅ルート
今回の旅は、福岡空港から羽田空港へ向かい、そこから大宮駅まで新幹線で移動。大宮駅からは東武東上線で東松山駅まで行き、さらにバスで吉見町へとアクセスしました。少し手間はかかりますが、その分、移動の時間も旅の一部として楽しめました。車窓からの景色を眺めながら、次第に都会の喧騒が遠のいていくあの感覚もまた、癒しのひとつでした。
吉見町は、心の中にそっと寄り添うような場所でした
観光名所のにぎやかさはなくても、吉見町には“静かでやさしい時間”が流れています。自然の音、人の声、そして料理の香りに包まれているうちに、自分自身の心と向き合えるような旅になりました。日々の仕事で張り詰めていた心が、ふっと軽くなっていく。そんな瞬間が、ここにはたくさんあります。忙しい毎日に疲れたとき、またきっと、吉見町のあの静けさを思い出すことでしょう。そして、次は季節を変えて、またこの町を訪れたいと思います。