能登半島の先端で出会った強さと優しさの物語
福岡市で警備員として働く私は、日々の勤務の合間を縫って、時折一人旅に出ます。今回は石川県珠洲市へ。2024年の能登半島地震で大きな被害を受けた地域ですが、そこには確かに人の強さと温かさ、そして美しい自然と文化が息づいていました。私の旅の記録をお伝えします。
震災の爪痕と、それを乗り越える人々との出会い
珠洲市に足を踏み入れたとき、まず感じたのは、震災の爪痕がまだそこかしこに残っていることでした。崩れた石塀、修復中の道、仮設住宅。けれど、同時に見えてきたのは、その中で懸命に日常を取り戻そうとする人々の姿です。
地元の方と話す中で、「また観光客が来てくれるだけで元気が出る」と笑顔を向けられたとき、胸が熱くなりました。旅を通じて、自分も少しでも力になれればという思いが生まれました。
国内旅行の格安予約なら【ビッグホリデー】
珠洲市の見どころは自然の力と人の営みが織りなす風景
珠洲市は能登半島の最先端に位置し、絶景が多く存在します。特に感動したのが、「禄剛崎灯台」です。日本海と富山湾を一望できるこの場所では、夕日が海に溶けていく景色に心を打たれました。
格安国内ツアーなら!エアトリ国内ツアー
また、「見附島(軍艦島)」も印象深いスポットです。その姿はまさに海に浮かぶ軍艦のよう。かつての祈りの場であったこともあり、静かで神聖な空気が漂っていました。
さらに、能登半島地震後も少しずつ再開している「道の駅すずなり」では、地元の野菜や加工品が並び、珠洲の力強い生活の息吹を感じられます。
癒しの宿で心と体を休めるひととき
宿泊は「珠洲温泉 のとじ荘」に決めました。断崖の上にある温泉宿で、露天風呂からは日本海が一望できます。地震の影響を受けながらも、今では営業を再開し、訪れる人々を温かく迎え入れてくれます。
スタッフの方々の心遣いも素晴らしく、「遠くから来てくれてありがとう」とかけられた言葉が、何よりのごちそうでした。
珠洲市の味覚は命の力を感じる絶品の数々
夕食では、能登の海の幸がふんだんに使われた会席料理をいただきました。特に「能登ふぐの刺身」と「いしる鍋」は絶品で、珠洲の食文化の奥深さに驚かされました。
朝食では、地元の米「能登ひかり」で炊かれたご飯と、珠洲の味噌で仕立てた味噌汁。どれも優しく体に染み渡り、忘れがたい味となりました。
珠洲の地酒に込められた土地と人の誇り
珠洲を訪れるなら、ぜひ味わいたいのが地酒です。今回訪れた「宗玄酒造」は、能登杜氏の技と自然の恵みを活かした酒造りで知られています。代表銘柄の「宗玄」は、キレがありながらも奥行きのある味わいで、料理との相性も抜群でした。
酒蔵の見学もでき、地元の人が酒造りにかける思いや、震災後の再建への情熱を間近で感じることができました。
心に残る珠洲市のお土産たち
帰りに立ち寄った「すずなり市場」では、珠洲焼の器や、地元の塩「揚浜塩田の塩」、能登ヒバを使った工芸品などを購入しました。中でも、珠洲焼のカップは旅の思い出として今も自宅で愛用しています。
こうしたお土産は、珠洲で過ごした時間を思い出させてくれるだけでなく、この土地の文化や暮らしを支える一端でもあります。
旅のルートとアクセスについて
今回の旅のルートは以下の通りです。
福岡空港から小松空港へ(飛行機)
小松空港から金沢駅まで(空港バス)
金沢駅から珠洲市まで(特急バス「すずなり号」利用)
時間はかかりますが、その道のり自体が旅の一部。車窓から見る能登の風景が、次第に心を解きほぐしてくれる感覚がありました。
震災を乗り越える珠洲市で、自分自身を見つめ直す旅を
石川県珠洲市は、ただ観光地を巡る旅ではなく、「人の強さと優しさに触れる旅」でした。震災を乗り越えて再生していく姿に、私自身も力をもらいました。
福岡に戻った今も、珠洲の海や人々の笑顔、温泉のぬくもり、そしてあの灯台の静けさが、ふとした瞬間に蘇ります。旅を通じて、少しでもこの地の復興を応援したい。そんな気持ちを胸に、また次の一人旅へと歩み出します。