能登半島へ 一人の警備員が選んだ七尾市という場所
福岡市で警備の仕事をしている私は、日々の忙しさの中でふと、「静かな時間に身を委ねたい」と思うようになりました。そんなときに目に入ったのが、石川県七尾市の風景でした。美しい海、温かい人々、そして復興に向けて歩む力強さ。そのすべてに惹かれて、私は一人旅を決意しました。
福岡空港から飛行機で小松空港へ。そこから特急とローカル線を乗り継ぎ、七尾駅に降り立ちました。少し肌寒い北陸の空気が、どこか懐かしく感じられたのが印象的でした。
七尾湾に抱かれるような絶景に心が洗われる
まず向かったのは、七尾湾を一望できる和倉温泉の海沿い。穏やかな波の音と、青く澄んだ空の下で広がる海のきらめき。その風景に、思わずため息がこぼれました。復興の途中にある能登の地ですが、自然の美しさは決して色褪せることはありません。
能登島大橋を渡って能登島へ足を延ばすと、田舎の風景と海の静けさが織りなす癒しの時間が広がっていました。のとじま水族館では、地元の子どもたちの笑顔に出会い、この町の未来を感じることができました。
国内旅行の格安予約なら【ビッグホリデー】
和倉温泉で心も身体もとろけるようなひととき
宿は和倉温泉の老舗旅館に決めました。海に面した露天風呂にゆったりと浸かると、身体の芯から温まる感覚に包まれました。宿の女将さんが話してくれた能登半島地震の話も心に残っています。被害を受けながらも前を向いて日々を営む人々の強さに、思わず胸が熱くなりました。
復興の象徴でもある「灯りをともすプロジェクト」にも心を打たれ、私も小さな灯りを献灯し、静かに手を合わせました。旅人として、できることをしたい。そう強く思わされる場所でもありました。
格安国内ツアーなら!エアトリ国内ツアー
七尾の味覚に出会い、感動する夜
夕食には、七尾港で水揚げされた新鮮な魚介を使った会席料理が並びました。特に印象に残ったのは「鰤しゃぶ」。脂の乗った鰤をさっと出汁にくぐらせ、ポン酢でいただくと、思わず声が漏れるほどの美味しさでした。酒は能登の地酒「竹葉」。どっしりとした米の旨味と、どこか繊細な口当たりが料理とよく合いました。
旅先で飲む地酒は、土地の香りを感じるひとときです。この夜の一杯が、私にとって忘れられない記憶となりました。
七尾で出会った人と景色と復興への希望
翌日は、七尾の旧市街を歩き、一本杉通りへ。昔ながらの町並みには、昔の商人文化が色濃く残っています。小さな和菓子店で買った「長生殿」は上品な甘さで、職場へのお土産にぴったりだと感じました。
そのあと訪れた「花嫁のれん館」では、加賀・能登の婚礼文化に触れ、七尾が大切に守ってきた家族の絆の深さを実感しました。
町のあちこちには、地震からの復興のメッセージが込められた展示や写真がありました。観光と同時に、今を知り、応援する旅になったことに大きな意味を感じました。
心を整える一人旅の終わりに思うこと
帰りの電車で見た七尾湾の夕暮れは、この旅の締めくくりにふさわしい光景でした。誰かと一緒ではなく、自分一人だからこそ感じられることがあります。
福岡に戻った今も、七尾で出会ったあの空、温泉のぬくもり、人々の優しさ、そして復興に向けた静かな強さが、私の背中を押し続けています。
仕事に追われる毎日でも、七尾で感じた癒しと勇気が、また頑張ろうと思わせてくれます。