福岡の警備員の一人旅No.163 福岡市に住む警備員の一人旅で心を癒した石川県小松市の観光名所と歴史ある宿と加賀の料理と地酒と地元の人の優しさと復興の力を感じる旅の記録

旅行

福岡市で警備員として働く私は、毎日の変わらぬ景色と、張り詰めた緊張感の中で過ごす日々の中、ふと心が疲れていることに気づきました。そんなとき、自分を見つめ直す時間が欲しくなり、一人旅を決意しました。向かったのは、北陸の空の玄関口でもある石川県小松市。加賀百万石の文化が息づくこの地には、静けさと力強さが共存し、そして何より、2024年の能登半島地震を乗り越えて進む人々の姿がありました。今回は、その小松市での癒しと希望の旅を綴ります。



北陸の入り口 小松空港からはじまる旅

福岡空港を早朝に出発し、1時間半ほどで小松空港へ到着。小松空港はコンパクトながら、北陸地方への玄関口として機能しており、空港を出た瞬間から澄んだ空気と、どこか懐かしさを感じさせる景色が広がっていました。

市街地まではバスで20分ほど。車窓からは、広々とした田園風景と、遠くに白山の山並みが見え、旅の始まりにふさわしい清々しさを感じました。



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自然と文化が調和する観光名所との出会い

まず向かったのは、小松市のシンボル的存在とも言える那谷寺(なたでら)。1300年以上の歴史を持つこの寺は、岩山と紅葉に囲まれた荘厳な空間。参道を歩くと、苔むした石畳と風に揺れる木々の音だけが響き、心がゆっくりほどけていくのがわかりました。



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次に訪れたのは、小松城址公園。今では静かな公園となっていますが、加賀藩前田家の歴史を感じられる場所で、天守台から見下ろす市街地の風景は、戦国から続く時の流れを肌で感じられました。

そして忘れてはならないのが、航空ファンなら一度は訪れたい航空プラザ。自衛隊の小松基地があるこの街ならではの施設で、実物の戦闘機やフライトシミュレーター体験ができるなど、大人でも子どもでも楽しめる空の博物館です。



老舗旅館で過ごす穏やかなひととき

宿泊先には、小松市内の老舗旅館である**粟津温泉 法師(ほうし)**を選びました。創業はなんと718年、日本最古級の温泉宿といわれる名宿で、静けさと歴史の重みが漂う佇まいに、心が自然と落ち着いていきました。

温泉は無色透明で肌あたりが柔らかく、長旅の疲れがじんわりと癒えていきます。夜には、和室でいただく季節の懐石料理が用意されており、目にも舌にも贅沢なひとときでした。



宿の方と話している中で、地震の話題にもなりました。「能登の被災地と違ってここは大きな被害はなかったけど、それでも観光客が減って大変でした。でも、また来てくださるお客様がいて本当にありがたいです」と微笑む女将の姿に、地域の強さと優しさを感じました。

加賀の旬を味わう料理に心がほどける

夕食では、加賀野菜を使った炊き合わせや、地元で水揚げされた甘エビの刺身、さらには**治部煮(じぶに)**と呼ばれる金沢や加賀地方独特の煮物など、北陸の味覚を存分に楽しみました。

治部煮は、鴨肉やすだれ麩をだし汁と醤油で煮込み、とろみのある餡がかかった上品な味わいで、口に運ぶたびに体も心もあたたかくなる一品です。デザートには、能登のミルクを使ったなめらかなプリンもついており、まさに「ご褒美のような夕食」でした。



地酒と語る夜のひととき

料理と一緒に楽しんだのが、石川県の地酒。中でも**小松市の酒蔵「農口尚彦研究所」**の純米大吟醸は、キレがありながらもまろやかで、料理の味を引き立ててくれました。

静かな夜、障子越しに聞こえる風の音をBGMに、ゆっくりとグラスを傾ける時間は、まるで時が止まったような安らぎに包まれました。一人旅の夜は寂しいと思っていましたが、この土地と料理と酒が、そっと寄り添ってくれているようでした。



旅の締めくくりに選んだお土産たち

帰りには、小松駅近くの**「こまつの杜」**に立ち寄り、お土産を探しました。加賀友禅の模様をあしらった小物や、地元産の米粉を使った焼き菓子、そしてもちろん、農口酒造のミニボトルも購入しました。

また、能登半島地震の復興支援を目的とした特産品コーナーも設けられており、そこでは能登産の乾物や木工製品が並び、少しでも力になれたらという気持ちでいくつか手に取りました。



旅のルートとこれからの思い

今回の旅は、福岡空港から小松空港まで飛行機で移動し、あとは公共交通とタクシーで観光地を巡りました。宿と主要スポットはそれぞれ駅やバス停から近く、移動もスムーズです。レンタカーがあれば、周辺の加賀温泉郷や白山方面へ足を伸ばすのもおすすめです。

そして、何よりも印象に残ったのは、「日常を支える人たちの温かさ」。震災を経験した土地に暮らす方々の、控えめだけど確かな強さは、私の心に深く響きました。



一人で歩く旅は、自分の中にある静けさや迷いとも向き合う時間です。そして、小松市はそんな内面の旅にぴったりの場所でした。静かな自然、美しい文化、あたたかな人々、そして、復興へ向かう前向きな空気。それらすべてが、心を優しく包み込んでくれました。

次に誰かに「どこかおすすめの旅先ある?」と聞かれたら、私は迷わず答えます。「石川県の小松市。行ってみるといいよ。元気になれるから」と。