福岡市で警備員として日々の勤務に励む私は、心の疲れを癒すために一人旅をすることを楽しみにしています。今回選んだ旅先は、北陸の名湯と伝統文化が息づく石川県加賀市。2024年の能登半島地震の影響を受けながらも、たくましく前を向いて生きる人々と、美しい自然、そして温かいもてなしがこの地にはありました。
ここでは、そんな加賀市の魅力を、実際に私が体験した旅の流れに沿ってご紹介していきます。
歴史と情緒を感じる加賀市の観光名所を巡る
加賀市の玄関口ともいえる加賀温泉駅に降り立った瞬間、空気の澄み切った静けさと心地よい温泉の香りに包まれました。最初に訪れたのは「山代温泉」。加賀藩の湯治場としても知られるこの場所は、明治時代の建築様式が残る「古総湯」が見どころです。レトロな木造の浴場に身を沈めると、まるで時間が止まったかのような感覚になりました。
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次に向かったのは「那谷寺(なたでら)」。自然と一体となった岩窟のお堂や庭園は圧巻の一言です。特に紅葉の時期は、赤や黄に染まる木々と白い岩肌のコントラストが美しく、心が洗われるようでした。ここでは震災後の安全祈願もされており、訪れるだけで祈りと再生の力を感じられます。
「片山津温泉」では柴山潟越しに見る夕日が絶景で、湖畔のベンチに座りながら、地元の方が語る震災後の様子に耳を傾けました。「大変なことも多かったけど、こうしてまた観光客が来てくれるのが嬉しい」と話す笑顔に、胸がじんと熱くなりました。
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心がほどける宿で過ごす静かな夜
私が泊まったのは、山中温泉にあるこぢんまりとした旅館。川沿いに立つその宿は、落ち着いた雰囲気と丁寧なおもてなしが魅力です。部屋からは鶴仙渓(かくせんけい)の渓流が見え、川のせせらぎを聞きながら過ごす時間は、警備の仕事で張り詰めた心をゆっくりとほぐしてくれました。
宿の女将さんは、能登の出身だそうで、震災の際には親戚が避難してきたとのこと。「観光業も落ち込んだけど、こうやって一人でも多くの方が来てくれることが、何よりの励みなんです」と語ってくれました。宿に漂う温もりは、単なる快適さ以上の「人のぬくもり」に満ちていたのです。
加賀の味覚を堪能する旅のごちそう
夕食には、地元で獲れた旬の食材がずらりと並びました。甘みの強い加賀野菜を使った煮物、肉厚なカニの酢の物、そしてこの地域ならではの「鴨の治部煮」は絶品でした。柔らかく煮込まれた鴨肉と出汁が染みた青菜、わさびを添えていただく味は、忘れられない旅の記憶となりました。
そして、料理をさらに引き立ててくれたのが地酒です。「常きげん」や「加賀鳶」など、キレのある辛口からフルーティーな甘口まで、さまざまな味わいを楽しめました。一人でゆっくりと酒を傾けながら、今日一日の旅を静かに振り返る時間は、何よりの贅沢です。
心に残るお土産を探す加賀の逸品たち
旅の終わりに、加賀市内でお土産探しを楽しみました。山中漆器の器は、手触りが滑らかで色合いも美しく、自宅での食卓が華やかになる逸品です。また、「加賀八幡起上り」という縁起物の民芸品も購入しました。倒れても起き上がるこの人形は、震災から立ち上がろうとする地域の姿と重なり、深い意味を感じました。
さらに、片山津温泉では「温泉まんじゅう」や「加賀棒茶」も人気です。どれも素朴な味わいながら、加賀の土地の優しさがぎゅっと詰まった品々でした。
福岡から加賀市への旅ルートのすすめ
私の旅のルートは、福岡空港から小松空港まで飛行機で移動し、そこから加賀温泉駅へは電車で30分ほど。市内の移動はレンタカーが便利ですが、宿の送迎サービスや観光地間のシャトルバスもあるので、公共交通でも十分に回れます。
旅の計画には少し時間をかけましたが、それもまた楽しみの一部です。福岡からでも意外とスムーズにアクセスできる加賀市は、日常から少し離れて心を整える旅にぴったりの場所でした。
旅を終えて思うこと
この一人旅で私は、加賀の自然や文化、人々の優しさに触れ、日々の忙しさの中で見失いがちな「心のゆとり」を取り戻すことができました。そして、震災を乗り越えて観光を再び盛り上げようとする地域の姿に、勇気と希望をもらいました。
一人で旅をすることには、不安もあります。しかしその分、深く感じられること、出会える感動が確かにあります。石川県加賀市は、そんな旅の本質を教えてくれる場所でした。
次に時間ができたら、またこの町を訪れたい。そう思えるほどに、加賀の旅は私の心に静かに、そして強く残りました。あなたもぜひ、一人旅で訪れてみてください。加賀市は、きっとあなたの心もそっと包んでくれるはずです。