毎日の仕事に追われ、気づけば深呼吸すら忘れていたような日々。そんなとき、心の声に導かれるようにして、私は一人旅へ出ることにしました。今回の目的地は、愛媛県伊予市。福岡市から少し離れたこの町には、華やかさとは違う、本物の癒しがありました。静かな海、優しい人々、そして心と体をゆるやかにほどいてくれる、穏やかな時間。それは、まさに“何もしない”ことの贅沢に満ちた旅でした。
海と空が織りなす癒しの風景 伊予市の観光名所を巡って
伊予市といえば、まず思い浮かぶのが「五色浜」。その名の通り、白や黒、赤など五つの色の石が混ざる美しい浜辺で、訪れた日はほとんど人もおらず、波の音だけが静かに響いていました。裸足で砂利を踏みしめながら、遠くの水平線をぼんやり眺める時間が、これほど贅沢だとは知りませんでした。
もうひとつ印象深かったのが、「ふたみシーサイド公園」。海沿いのベンチに腰をかけ、潮風に吹かれながら地元のアイスクリームを味わいました。時間が止まったような感覚になり、心がスッと軽くなったのを覚えています。
国内旅行の格安予約なら【ビッグホリデー】
そして、少し足を延ばして訪れた「伊予灘ものがたり」という観光列車は、旅そのものを演出する贅沢なひととき。海側に大きく開けた窓から望む伊予灘の夕暮れは、言葉を失うほどの美しさでした。心が洗われる、そんな風景に出会える町です。
宿で感じる心のやすらぎ 静寂の中に身を委ねて
格安国内ツアーなら!エアトリ国内ツアー
今回の旅では、「伊予の湯治宿 風の宿」に宿泊しました。名前の通り、まるで風に包まれるような心地よさを感じられる、静かで落ち着いた宿でした。木の香りが優しく漂うロビーで迎えられ、部屋に入ると大きな窓から伊予灘が広がる景色が飛び込んできます。
夜には小さな露天風呂で月を見ながら湯に浸かり、聞こえるのは湯の音と虫の声だけ。何も考えず、ただ湯に揺られているだけで、日々の疲れが身体から溶け出していくようでした。宿のスタッフの方々もとても親切で、静けさの中にある温もりを感じました。
伊予の恵みを味わう 地元ならではの料理との出会い
夕食は、地元食材をふんだんに使った和会席。伊予市は海も山も近いため、海の幸と山の幸の両方が堪能できます。新鮮な鯛のお造りは、身が透き通るほどで、口の中でとろけるような食感。小鉢には季節の野菜や山菜が並び、どれも優しい味付けで、素材の旨味が活かされていました。
特に感動したのは、愛媛名物の「鯛めし」。ふっくら炊きあがったご飯に、出汁の旨味が染み渡り、何杯でも食べられそうな美味しさでした。食事のひとときは、まさに“口福”という言葉がぴったりでした。
伊予の酒で夜が深まる ゆっくりと心がほどけていく時間
食事と一緒にいただいたのは、伊予市でつくられている地酒「寿喜心(すきごころ)」。やわらかな香りとまろやかな口当たりで、食中酒にぴったり。少し肌寒い夜だったので、ぬる燗にしていただくと、体の芯から温まっていくようでした。
もう一杯、宿のバーで勧められたのが、柑橘のリキュール「伊予みかん酒」。甘すぎず、ほのかに苦みがあり、まさに大人の癒し酒という感じでした。小さなグラスを傾けながら、今日見た風景を思い出すと、自然と笑みがこぼれました。
旅の記憶を持ち帰る 伊予市で見つけた素敵なお土産
伊予市には、地元ならではの手仕事のお土産がたくさんあります。特に気に入ったのが「伊予和紙」を使った便箋セット。やさしい風合いの紙に触れると、手紙を書いてみたくなる不思議な気持ちになります。
もうひとつ購入したのは、「みかんバター」。濃厚なバターの中に、伊予みかんの爽やかな風味が溶け込んでいて、朝のトーストが楽しみになりました。友人には「鯛めしの素」をお土産に。自宅で旅の味を再現できるのも、嬉しいポイントです。
静けさと温もりに包まれる旅 福岡から伊予市へのアクセスとルート
福岡市から伊予市までは、まず新幹線で小倉経由の岡山へ向かい、そこから特急「しおかぜ」に乗って松山へ。松山から伊予市までは、JR予讃線で約20分。乗り継ぎの多い旅路でしたが、車窓に流れる山々と川の風景に癒されながら、のんびりとした時間を楽しめました。
帰りは伊予灘沿いの観光列車「伊予灘ものがたり」を利用して松山まで戻り、そこからフェリーで別府へ渡るルートを選びました。海風を受けながらの船旅は、旅の締めくくりにふさわしい癒しの時間でした。
おわりに
愛媛県伊予市は、派手な観光地ではありません。でも、その静けさこそが、今の私には必要なものでした。福岡で警備員という仕事に日々向き合う中で、心の奥に少しずつ溜まっていた疲れや緊張が、伊予の風景と人々の優しさによって、そっとほどけていったのです。
また、ふと立ち止まりたくなったとき、伊予の海を見に行こう。そう思える、心の帰る場所ができました。みなさんにもぜひ、この癒しの町で、自分だけの静かな時間を見つけてほしいと思います。