福岡の警備員の一人旅No.124 福岡市に住む警備員の私がひとり静かに心を癒すために訪れた鹿児島県南九州市で出会った知覧の武家屋敷と特攻平和会館と開聞岳の絶景と温泉宿と地元料理と焼酎とやさしいお土産に包まれる一人旅の記録

旅行

福岡市で警備員として働いている私は、日々の仕事のなかで常に気を張りながら、多くの人の安全を守っています。人の流れに身を置く日常は緊張の連続で、ときどき心も体も「少しだけ、休みたい」とささやきます。そんな声に耳を傾け、今回は一人旅で心を癒すために鹿児島県南九州市を訪れました。

鹿児島県の南部に位置する南九州市には、歴史の面影を残す知覧、自然の雄大さを感じる開聞岳、美しいお茶畑、そして心に沁みる人の優しさがあります。穏やかな時間が流れるこの地で、私は静かに、自分を取り戻していく旅をしました。



歴史が語りかける知覧武家屋敷のまち並み

旅の始まりは、南九州市の中心とも言える知覧の町から。江戸時代の面影をそのままに残す「知覧武家屋敷通り」を歩いた瞬間、心にふっと静けさが広がりました。石垣と生垣が整然と並び、武家屋敷の門構えや庭園が美しく保存されていて、まるで時代を越えて歩いているかのようです。

私は制服を脱ぎ、ゆったりとした服に着替えてこの町をそぞろ歩きました。人混みはなく、鳥の声と風の音だけが耳に入ってきます。とある庭園のベンチに腰かけ、しばらく空を見上げていると、まるで時間が止まったような感覚に包まれました。



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特攻平和会館で感じた静かな祈り

知覧といえば、特攻平和会館も忘れてはなりません。心を癒す旅のなかで、少し胸が締めつけられる場所ではありますが、その分、深く考えさせられ、静かに自分を見つめる時間をくれます。

若き特攻隊員たちの手紙や遺影に触れ、彼らが見たであろう景色を想像しながら館内を巡りました。何かを守るという気持ち、誰かのために尽くすという思いが、自分の仕事と重なり、涙が頬をつたいました。静かな祈りの時間が、旅の意味をより深くしてくれました。



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開聞岳の絶景に心を解き放つ

次に向かったのは、南九州市からもほど近い絶景の名所「開聞岳」です。標高924メートルの美しい円錐形の山で、「薩摩富士」とも称されます。今回は山頂までは登らず、麓の開聞温泉付近で景色を堪能しました。

澄んだ空気の中、開聞岳が夕陽に染まりながら浮かび上がる様子は、まるで絵画のような美しさでした。静かな湖面に映る山の影と、遠くに聞こえる潮騒。自然の偉大さと包容力に、胸の奥からじんわりと癒されていくのを感じました。



静寂の中でくつろぐ温泉宿での一夜

宿泊は、知覧から少し足を伸ばした場所にある隠れ家のような温泉宿「お茶の香りの宿 茶心(ちゃごころ)」へ。地元の知覧茶をテーマにした小さな宿で、館内にはほのかなお茶の香りが漂っていました。

部屋に入ると、障子越しに差し込む柔らかな光が心を優しく包みます。そしてすぐに、温泉へ。露天風呂は貸切で、竹林に囲まれた湯船にひとり、ゆっくりと体を沈めます。湯に浸かったその瞬間、ふっと肩の力が抜け、張り詰めていた心がほどけていくのがわかりました。



地元の恵みを味わう癒しの料理と焼酎

夕食は、地元食材をふんだんに使った懐石料理。特に印象に残ったのは、知覧鶏の炭火焼きと、黒豚のしゃぶしゃぶです。知覧鶏は弾力のある歯ごたえと、噛むほどに広がる旨味が絶品。黒豚は脂が甘く、まさにとろける味わいでした。

そして何より心に沁みたのが、地元の焼酎「知覧Tea酎」。知覧茶の香りをまとった焼酎は、お湯割りにするとふんわりとお茶の香りが立ち上り、驚くほどまろやかな味に変化します。一口一口に、旅の安らぎが溶け込んでいるようでした。



旅の余韻を持ち帰るお土産選び

帰路につく前に、知覧の物産館でお土産を探しました。最も気に入ったのは、手摘みの知覧茶と、地元の陶芸家が作る茶碗のセット。家に帰ってからも、この旅の香りを思い出せるようなお土産です。

また、知覧の焼酎や黒豚味噌なども購入しました。すべてに地元の人の温かさと丁寧な手仕事が感じられ、「持ち帰れる癒し」として、旅の締めくくりにぴったりでした。



福岡市から南九州市への穏やかな旅路

今回の旅は、福岡市から新幹線で鹿児島中央駅へ。そこから指宿枕崎線に乗り換えて知覧方面へ向かいました。時間にして約3〜4時間。列車に揺られる時間もまた、この旅の癒しの一部でした。

車窓から見える海と山と茶畑、そして少しずつ日常が遠のいていく感覚。旅の始まりから終わりまで、心がゆっくりほどけていく道のりでした。



南九州市で見つけた「静けさ」という贅沢

この旅で私が得たものは、言葉にしづらいけれど確かに存在する「静けさ」と「やすらぎ」でした。観光地としての賑やかさではなく、人と自然、歴史と時間がそっと寄り添う南九州市の空気に、私は心から癒されました。

忙しない日々の中で、こんなふうに立ち止まって、自分を大切にできる時間を持つことの大切さを、改めて感じました。また明日から頑張るために、時々こうして「ひとりで静かに旅する」ことが、私にとっての最高のご褒美なのかもしれません。



南九州市、またきっと帰ってきます。優しさと静けさを、ありがとう。